コーチングは、ちょっと怪しい。気にはなるけれど、安心して頼めるものなのかが分からない。
事業は続いている。頼まれれば仕事も来る。けれど、次に何を選ぶかを自分で決め切れない。そういうときにコーチングという言葉を見つけて、同時に身構えてしまう。やり方を教わるほど、自分のやりたかったことから離れていくのではないか、と。
だから、怪しく見える理由を無理に打ち消しません。そう見えてしまうだけの事情が、実際にあるからです。そのうえで、ご自分で判断するための線を渡します。
怪しいかどうかは、業界全体ではなく、目の前の一人が何をどこまでやると言っているかで決まると思うんですよね。
コーチングが怪しい・胡散臭いと言われる5つの理由

コーチングが「よく分からないもの」のままなのには、理由が5つあります。
- 誰でもコーチと名乗れる
- 受けるまで中身が分からない
- 料金の相場が見えない
- 「人生が変わる」と言う人がいる
- SNSで突然勧誘される
どれも、受ける前には確かめようがないことばかりなんですよね。
誰でもコーチを名乗れて、受けるまで中身が分からない
国が定めた資格の一覧を見ても、コーチングは入っていません。名乗るのに免許や届け出が要るという決まりも、探した範囲では見当たりませんでした。
これはもう、そういう仕組みなんですよ。ただ、買う側から見れば、肩書きが何も保証してくれないということでもあります。
そのうえ、コーチングには形が残りません。家電なら店頭で触れますし、本なら目次が読めますよね。けれどコーチングは、受けてみるまで中身が分かりません。
誰でも名乗れる肩書きと、確かめられない中身。この2つが重なったものに安くない金額を払うわけですから、警戒するほうが自然だと思います。
コーチングは1回いくらが相場か
料金を見るなら、まずは1回あたりで揃えてみてください。そこがいちばん分かりやすい見方になります。
ただ、具体的な相場の金額そのものは、私からはお答えできないんですよ。公的な調査も業界の統計も見当たりませんし、ネットに出てくる相場のほとんどは、コーチング会社が自分のサイトに書いたものだからです。売る側が出した数字をそのまま相場と呼ぶわけにはいきませんよね。
そのかわり、見方をお伝えします。コーチングの料金には示し方が2つあって、1回あたりで出す形と、月額や回数でまとめて出す形があります。相場の幅が大きく見えるのは、この2つが一緒に並んでいるからなんですよ。1回分の値段と半年分の値段を横に置けば、開きが出て当たり前です。
気になっている案内があるなら、その2つに割り戻してみてください。1回あたりの金額と、全体の回数や期間です。どれも書かれていないなら、判断する材料がまだ足りていません。聞かないと出てこない料金は、それ自体が一つの情報です。私も、金額と回数と期間は、聞かれる前に出しています。
相場の見方を、もう少し詳しく知りたいときは、コーチングの相場の記事で書いています。
インスタのDM勧誘と「人生が変わる」という言い方
インスタ経由のコーチングは怪しい。そう見られることもあります。インスタだから怪しいわけではありませんが、警戒される理由は分かります。
知らない相手からDMが届いて、返信すると長い説明が始まって、断りにくい空気になる。この流れを一度でも見れば、詐欺という言葉が頭をよぎっても無理はありません。
変化を約束されたときに宗教のようだと感じたなら、その感覚は間違っていないと思います。洗脳という言葉が浮かんだのなら、それも同じです。
そもそも、結果を先に約束するのは無理があるんですよ。やるのはご本人ですから、こちらが保証できる筋合いのものではありません。私も成果や売上の保証はしていません。
変化が起きることはあります。ただ、それを先に売り文句にはしない、ということです。
ここまで挙げた5つは、どれも実際にある話です。ただ、あなたが検討している目の前の一人の話かどうかは、まだ分かりません。
その一人をどこで見るかは、このあとまとめます。その前に、混同されやすい3つの仕事を分けておきますね。ここを取り違えたまま選ぶと、何を確かめても噛み合わないからです。
コーチングとカウンセリング・コンサルティングの違い

相談先を選ぶときに、ここがいちばん分かりにくいと思うんですよね。コーチングが「効果がなかった」と言われたとき、私はまず、必要としていたものと取り違えていなかったかを考えます。中身の問題だと決めるのは、そのあとです。
私は、こう整理しています。
| 向き | 何をするか | 誰の仕事か | |
|---|---|---|---|
| カウンセリング | マイナス → ゼロ | 傷ついたところを治す | 医療・心理の専門家 |
| コーチング | ゼロ → プラス | いまある力を引き出して伸ばす | コーチ |
| コンサルティング | プラス → さらにプラス | 具体的な設計を持ち込む | コンサルタント |
向かう方向はどれも同じ、プラスの側です。違うのは、どこから始めるかだけ。
取り違えると「効果がなかった」になる
心が疲れきっているときにコーチングを受けても、ほしかったものは手に入りません。立っている場所が違うからです。けれど受けたご本人からは、「効果がなかった」としか見えなくなってしまうんですよね。
膝を痛めている人に走り方を教えても意味がないのと同じです。必要なものは、今いる場所によって変わります。
今必要なのはどれか
どこに当てはまるかを判定するものではありません。目安として読んでください。
- まず心と体を休めたいとき:カウンセリングや医療の領域です
- 事業は続いているけれど、次に何を選ぶかを決め切れないとき:コーチングが向く場所です
- やることは見えていて、設計や手順がほしいとき:コンサルティングの領域です
心の回復が必要なときは、医療とカウンセリングの領域です。コーチングはその代わりになりません。
私がお相手するのは、今がマイナスではなく、ここからプラスへ向かいたいフラットな状態の方です。いまある力を引き出して伸ばす部分を扱います。答えを決めてほしいときは、設計を持ち込む相手を探すほうが早いと思います。
それと、私は、コーチングとコンサルティングの境界を設けていません。事業の話が必要なら事業の話をしますし、ご本人の話が必要ならそちらをします。分けたほうが都合がいいのは、たぶん提供する側だけなんですよ。
コーチングの資格だけでは判断できない理由

「コーチングの資格って、怪しいんじゃないか」。ここも気になるところだと思います。私は、資格の有無だけでは判断の材料として足りないと考えているんですよ。
私が見ているのは、2つです。
- 資格を出しているのが、どういう団体なのか
- 資格が何を示しているのか
どちらも、資格の名前だけを見ていては出てこないことです。
コーチングの資格を出しているのは誰か
コーチングの資格に、国が出しているものは見当たりません。たとえば国際コーチング連盟の日本支部として活動している団体も、法人格は一般社団法人です。
その基準に意味がないわけではありません。ただ、国が保証しているものと同じようには扱えない、というだけの話なんです。
私が資格から読み取っていること
資格から私が読み取るのは、決められた内容を学んできたということまでです。学んだことと、あなたの状況を扱えることは、そのまま同じにはならないと思います。
ここで私の話をします。新潟コーチング研究所のおとさんです。
コーチングの資格は持っていません。隠すことではないと思っています。19歳で学習塾を開き、事業を始めて20年目になります。飲食店の店長として現場も回してきました。コーチングとコンサルティングの境界を設けず、9年間で2,000人以上の事業相談に携わってきました。
これは、資格を持つ方を否定する話ではありません。資格があってもなくても、見ていただきたい場所は同じです。
怪しいコーチングと、そうでないものを見分ける3つの確認点

業界を丸ごと判定することはできません。できるのは、検討している相手を一人ずつ確かめることだけです。見る場所は、3つで足ります。
- 「何をしないか」を先に言っているか
- 資格ではなく、何を根拠に関われる人なのか
- 終わり方が決まっているか
読み終えたら、検討している方のページで確かめてみてください。
「何をしないか」を先に言っているか
扱わない範囲を先に書いている人は、自分の守備範囲が見えています。どんな悩みにも対応すると書いてある案内は、読むほど分からなくなるんですよ。
私のページにも、カウンセリングはやりません、と先に書いてあります。心の回復は専門家の仕事で、私の守備範囲ではないからです。
書かれていないときは、扱う範囲がどこまで具体的に絞られているかを見てください。「どんな悩みにも」しか書いていないなら、それが答えです。
資格ではなく、何を根拠に関われる人なのか
ここが、資格の続きです。資格だけで判断できないなら、見る場所を別に決めておく必要があります。
その人が何をしてきた人なのかを見てください。やってきた年数、自分で事業を持った経験。そこに何が書いてあるかです。
資格ではなく、何を根拠に関われるのかを見ていただきたいんです。つまり、あなたの状況と重なる場所にいた人かどうかです。
そこが書かれていない案内は、学んだ内容しか差し出していない、ということです。
終わり方が決まっているか

どこまで続けて、どうなったら終わりにするのかが書かれていない案内は、終わりのない設計になっていることがあります。
私にも、思い違いをしていた時期があります。手をかけ目をかけることが個別対応だと思って、毎朝、クライアント一人ひとりのために文章を書いて送っていたんです。
そんなとき、知り合いのコンサルタントにこう言われました。個別対応というのは、毎日そうやって何でも送って差し上げることではありません。ときには何も送らない、何も言ってあげない。そういうことをしてあげるのも、個別対応だったりするんですよ、と。
その瞬間、はっとしました。言って差し上げることも大事だけれど、言って差し上げないことも大事なんです。
こちらでやることを全部並べて、これをやったらいい、そっちはやっちゃだめだ。そう言ってしまうのは、相手の成長につながりません。自分の頭で考えて、行動して、失敗したり成功したり。その体験のほうが人を育てます。
そうやって関わったクライアントは、時に自分の足でつまずいて、転んで、怪我をすることもあります。怪我をしたときに、手を差し伸べればいい。いつでも手をつかみながら、よちよちと歩いていては、一人で上手に歩けるようにはなりません。
だから私は、主体性を育んで、成長を信じて関わることを大事にしています。
この違いは、案内の書き方に出るんですよ。期間と回数、そして終わりにあたる言葉。そこを見れば、ずっと手をつないで歩く設計なのか、一人で歩けるようにする設計なのかは分かります。
まとめ

コーチングが怪しく見える理由は、実際にあります。あなたの気のせいではありません。ただ、そこから業界ごと決めてしまうと、判断はそこで止まってしまいます。
確かめられるのは、目の前の一人だけです。
- 何をしないと言っているか
- 資格ではなく、何を根拠に関わる人なのか
- 終わり方が決まっているか
この3つで、たいていのことは見えます。
頼むかどうかは、そこを確かめてから決めて構いません。



