今の仕事はこなせているのに、ふと「やりたいことがわからない」と立ち止まってしまうことがあります。頼まれたことにもきちんと応えている。それでも、このままでいいのかという疑問が消えない。

周りの人は、それぞれの目標を持って堂々と進んでいるように見えます。それに比べて、自分は何がしたいのか言葉にならない。「自分のことが自分で分からない」と感じて、焦りばかりが募っていきます。

やりたいことが見つからないのは、あなたに何かが欠けているからとは限りません。答えを先に言葉にしてから動く順番が、自分の進み方と合っていないこともあるんですよ。

本当にやりたいことがわからないのはなぜか

やりたいことがわからない理由:やるべきことで予定が埋まる、職業名で探している。欠けているからとは限らない

日々のやるべきことに追われたり、答えを職業名や肩書きの枠の中だけで探したりすると、自分の感覚が言葉になりにくくなることがあります。

  • 目の前のやるべきことが、自分の感覚を後回しにしている
  • 答えを職業名や肩書きで探している
  • やりたいことがないのは、何かが欠けているからなのか

目の前のやるべきことが、自分の感覚を後回しにしている

たとえば、午前は会議に出て午後は頼まれた資料を仕上げる。帰宅後は食事の支度や片づけをして、一日が終わる。こうして「何をすべきか」で予定が埋まると、自分の感覚は後回しになりがちです。

仕事を着実にこなすうちに、「何をしたいか」を考えるための余白がいつの間にか消えてしまいます。それだけ目の前の現実に真剣に向き合ってきた、ということなんですよね。

答えを職業名や肩書きで探している

やりたいことを探そうとするとき、世の中にある仕事の名前や肩書きから選ぼうとしていないでしょうか。あらかじめ用意された選択肢の中に自分の望む形がなければ、「やりたいことがない」という結論になってしまいます。

目指す姿を数字や成果で固定する必要はありません。「こうありたい」「こういう空気の中にいたい」という抽象的な姿のまま置いておけばよいと考えています。

やりたいことがないのは、何かが欠けているからなのか

やりたいことが言葉にならないからといって、能力や熱意が足りないしるしとは限らないんです。

動きながら行き先を見つける進み方もあれば、最初に行き先を決めてから動く進み方もあります。

やりたいことが見つからない人の特徴には、自分の見方が関わることがある

自分を見る眼鏡(見方)には、動きながら見つける進み方と行き先を先に決める進み方の2つのレンズがある

やりたいことが見つからないときは、自分を見る「眼鏡」、つまり見方が合っていないことがあるんです。

動きながら見つける進み方と、行き先を先に決める進み方

私はコーチングとコンサルティングの境界を設けず、9年間で2,000人以上の事業相談に携わってきました。

人の進み方をアート型とデザイン型という2つの傾向で捉えています。

この2つに優劣はありません。誰の中にも両方があって、どちらに寄っているかが人によって違うだけなんですよ。同じ人でも、年代や事業の段階によって比率は変わりますし、仕事と私生活で違う顔が出ることもあります。

比較する軸アート型デザイン型
動き出す起点衝動・違和感・直感目的・課題・計画
進み方動きながら行き先を見つける逆算(行き先から手順を並べる)
たとえるなら波乗り登山

型の詳しい考え方については、アート型とデザイン型の解説でも整理しています。

アート寄りの人は、答えが出る順番が違う

アート寄りの人は、実際に試した手応えや違和感を振り返って納得していくんです。

たとえば、仕事で気になった作業を少し試したとします。「実際にやってみて、どこに手応えや違和感があったか」と自分に問いかけてみてください。

デザイン寄りの人は、曖昧な状況にストレスを感じやすいことがある

デザイン寄りの人は、行き先から逆算して計画を立てます。その一方で、予想外の変化や曖昧な状況にストレスを感じやすいことがあるんです。

たとえば、行き先が定まっていないのに「とりあえず動いてみよう」と言われても、確認したい条件が残ることがあります。

そのときは、判断の材料や基準がどこまで揃っているかを確かめてみてください。

やりたいことの見つけ方を自分の進み方に合わせる

アート寄りはやらないこと・惹かれたこと、デザイン寄りは選ぶ基準と情報、分からなければ仕事と私生活の違いから

どちらに寄っているかで、先に集める手がかりが変わります。

寄っている傾向先に集めるもの
アート寄りやらないこと・惹かれたこと
デザイン寄り選ぶための基準と情報
どちらか分からない仕事と私生活の違い

アート寄りなら、「やらないこと」と惹かれたことを先に集める

アート寄りの手順:やらないことを書く、小さく試す、感想を書き留める

アート寄りなら、「これだけは何があってもやりたくない」という条件を書き出すことから始めてみてください。たとえば、「休日の予定を毎回仕事に合わせる」「一日中誰とも話さずに働く」といったことです。

理由を説明できなくても、ふと気になったことや惹かれたことを小さく試します。たとえば「今の仕事は続けたまま、週末の半日だけ」というように、試す範囲を先に決めておきましょう。

やってみたことは、感想と一緒に書き留めておいてください。

デザイン寄りなら、選ぶための基準を先に言葉にする

デザイン寄りの手順:基準を書き出す、今の仕事を点検する、候補を同じ基準で比べる

デザイン寄りなら、行き先そのものを探す前に、選ぶための基準を明確にすることをおすすめします。「どんな条件が揃っていれば納得して選べるか」を先に書き出します。

候補がまだないときは、書き出した基準で今の仕事を点検します。働く時間や関わる人、働く場所のうち、満たされている条件と足りない条件を分けておくとよいでしょう。

候補が出てきたら、同じ基準で比べます。必要な情報を集めてから、いちばん納得できる候補を選びましょう。

どちらか分からないときは、仕事と私生活で分けて振り返る

たとえば、仕事では計画通りに逆算して進めていても、休日の過ごし方や趣味は直感で決めていることがあります。その逆になることもあるでしょう。

どちらの傾向が出ているかは、日常の小さな選択を振り返って確かめます。仕事と私生活それぞれで、自分がどんな順番で物事を決めているのかが見えてきますよ。

「やりたいことがない」と焦って答えを決める前に

期限が迫っていなければ違和感を書き留めて残す、期限が迫っていれば相談窓口を頼る

周りが先へ進んでいるように見えると、早く答えを出さなければと焦る気持ちが湧いてくることがあります。答えを決める前に、今の違和感をどう扱うかと、期限が迫っているかどうかを確かめておきましょう。

周りに合わせるうちに、自分の基準が見えなくなっているときは、自分軸についての記事も読んでみてください。

  • 今の延長線上に納得できない感覚は、手がかりとして残しておく
  • 就職や転職の期限が迫っているときは、相談先を頼る

今の延長線上に納得できない感覚は、手がかりとして残しておく

このままでいいのかと疑問を持つ感覚は、これからの働き方を考える手がかりとして残しておけます。今の延長線上で思いつくものだけが、目指す先ではないと思うんです。

期限が迫っていないなら、答えは急がなくていいんです。抱いている違和感は、書き留めておいてください。

就職や転職の期限が迫っているときは、相談先を頼る

就職活動の最中だったり、転職の期限が決まっていたりすると、答えを待てない事情もありますよね。

自分がどんな順番で物事を決めていく人かを知ることと、具体的な志望業界や職種を選ぶことは別です。応募書類の書き方のような実務は、それとは別に確かめる必要があります。

差し迫った期限があるのなら、公的な就職・転職の相談窓口や学校のキャリアセンターなど、具体的な手続きを支援してくれる専門機関を頼ってみてください。

まとめ

答えが出る順番はアート型とデザイン型で違う。自分に合った順番で手がかりを集める

アート型は動きながら行き先を見つけ、デザイン型は行き先から手順を並べます。答えが出る順番に違いがあるんですよ。

自分の進み方に合った順番で、手がかりを集めていきましょう。

自分がどちらに寄っているかを確かめたくなったら、無料のタイプ診断を試してみてください。仕事とプライベートの2つの軸から、今のあなたに出やすい傾向を整理できます。

この診断で分かるのは、その時点の回答から見える傾向です。優劣や変わらない性格、向いている仕事を示すものではありません。

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もちろん、診断を受けずに手がかりを自分でノートに書き出してみるだけでも十分です。