面談で「あなたの強みは?」と聞かれて、言葉が出ない。普段は「感覚派だね」と言われるけれど、それを強みとしてどう話せばよいのか。うまくいった仕事は思い出せても、自分の何がよかったのかを説明しようとすると詰まってしまう。

言葉にしやすい力だけで自分を測っていることもあるんですよ。その物差しや見方が、ここで言う「眼鏡」です。感覚で判断してきた場面まで目を向けると、強みとして話す材料が変わります。

私は、感覚派の強みも、実際の仕事で何に気づき、どう動いたかから言葉にしていけると思っています。

感覚派とは?理論派との違い

判断の起点の違い:感覚派は見て感じたこと、理論派は筋道や根拠

感覚派という言葉だけでは、仕事でどう判断しているかまでは伝わりません。世間の呼び方と、相談の中で使っている見方には違いがあります。

  • よく言われる感覚派と理論派の違い
  • 感覚派と、アート型という見方

よく言われる感覚派と理論派の違い

一般に感覚派とは、理屈や手順より先に、見て感じたことで判断して動く人を指す呼び方です。理論派との違いは、次のように説明されます。

見る点感覚派理論派
判断の起点見て感じたこと筋道や根拠
動き方感じたことをもとに動く根拠を確かめてから動く
人に説明するとき感覚的な言葉や例えで伝える筋道や根拠を示して伝える

新しい仕事を任されたとき、何から始めたでしょうか。資料をそろえて手順を決めたのか、目に留まった所から手を付けたのか。呼び名だけで考えるより、最初にしたことを見ると自分の動き方が分かります。

感覚派と、アート型という見方

アート型は衝動・違和感・直感から動く順算(波乗り)、デザイン型は目的・課題・計画から動く逆算(登山)。一人の中の比率で見る

私は、感覚派と呼ばれる方にはアート型の傾向が強い方が多いと見ています。9年間で2,000人以上の事業相談の中で、結果を出していても理由を言葉にできない方を繰り返し見てきました。

独立の準備中なら、取引先からの話にどこか引っかかり、返事を保留にする場面もあるでしょう。条件を並べても理由が見つからず、後になって何に引っかかっていたのかが分かる。アート型は、こうした衝動・違和感・直感から動く人のことです。

世間の感覚派/理論派と、ここで言うアート型/デザイン型は別の見方です。アート型/デザイン型では一人の中にある比率を仕事と私生活に分けて見ます。

見る点アート型デザイン型
動き出す起点衝動・違和感・直感目的・課題・計画
進み方順算。動きながら行き先を見つける逆算。行き先から手順を並べる
たとえるなら波乗り登山

この見方では、計画と直感のどちらを使っているかを考えます。型の詳しい説明は、アート型/デザイン型の考え方にまとめています。

感覚派が理由を聞かれて言葉に詰まるのはなぜか

判断は先にできていて、理由の言葉があとから来る

上司に「その判断の根拠は?」と聞かれる。うまく進んだ仕事なのに、「何となく」としか答えられない。説明するほど頼りなく聞こえてしまう。

  • 「理由は?」への答えが、あとから見つかる
  • 計画に沿って書けないのは、気づいた所から動くから

「理由は?」への答えが、あとから見つかる

たとえば、打ち合わせで相手の返事が短くなった。「このまま説明を続けないほうがいい」と感じて、用意した説明の順番を変える。その結果、相手が不安に思っていた点に先に答えられることがあります。

その場では、なぜ順番を変えたのかまで整理していない。話が進んでから「あの返事で引っかかっていたのか」と分かる。判断は先にできていて、理由の言葉が遅れて来るんです。

選んだ結果は外していないことも多いのに、説明だけが追い付かない。上司への返答に詰まったのは、頭が悪いからではありません。アート型の傾向が強い方は、言葉になる前の感覚を使って判断しているんですよ。

その場で理由を言えるかどうかだけでは、実際にした判断は測れません。どの反応を受けて動いたのか。あとから言葉にするときも、その手がかりは仕事の中にあります。

計画に沿って書けないのは、気づいた所から動くから

仕事は終わったのに、期初の目標シートや振り返りシートに沿って説明できない。途中で目に留まった箇所から手を付けたので、最初から順序立てていたようには書けない。計画性がないと思われそうで心配になる。

計画に書くより先に気づいて動き、仕事を進めていた。そこまで「計画が苦手」の一言でまとめてしまうのは違うんですよ。計画の苦手さをそのまま弱点とは呼びません。段取りができる前から動き出し、仕事を進める力があったからです。

シートに書くときは、何を見て手を付けたのかを一つ残してみてください。その記録が、予定との差だけでなく、自分がした判断を振り返る材料になります。

感覚派の自己分析がしっくりこない理由

計画だけで測る眼鏡では、アート型の力は輪郭がぼやける

強みの診断結果には、それらしい言葉が並んでいる。間違ってはいない気もするけれど、日々の自分の仕事とは結び付かない。もう一つ試しても、やはり自分の話として読めない。

  • 自己分析の道具が前提にしているもの
  • 感覚派か理論派かの判定と、このサイトの診断の違い

自己分析の道具が前提にしているもの

強みの診断に「計画性」と書かれていたら、予定どおりに進めた仕事を探すかもしれません。けれど、自分が手応えを感じたのは、途中の違和感から進め方を変えたときだった。結果の言葉に合わせて説明しようとしても、その判断が入る場所を見つけられない。

自己分析の道具のほとんどは、デザイン型を前提に組まれているというのが私の見方です。計画から動く方法だけを正解にすると、別の進み方が能力不足に見えてしまいます。

結果に書かれた強みと、うまく進められた仕事を横に置いてみる。「当てはまるか」だけで読むと、自分が途中で変えたことが抜け落ちます。そこにも目を向けます。動き出したきっかけまで含めて、自分の仕事なんですよね。

結果の言葉では説明しきれない出来事があっても、その出来事が、なかったことにはなりません。アート型の力を計画だけで測れば、自分の輪郭がぼやける。自分を測る眼鏡が合っていないんです。

感覚派か理論派かの判定と、このサイトの診断の違い

感覚派か理論派かを振り分ける判定とは違って、このサイトの無料タイプ診断はアート型とデザイン型の比率を仕事と私生活に分けて見ます。

アート型/デザイン型は、事業相談を通じて私が整理してきた見方です。標準化された心理検査や医学的な診断ではありません。

結果を自分の話として読むには、普段の選択と照らし合わせます。理由をそろえてから選んだのか、先に違和感があって選び直したのか。強みの名前だけを探すよりも、何を使って動いたかに目を向けるんです。

感覚派の自分を活かすためにできること

感じ取る力と、筋道をつける力の両方を育てる

私は、感覚と論理の両方を育てることが大事だと考えています。どんなときに感覚が働いたかを知って、その判断を相手に伝わる形にする。面談で強みを話すときも、自分が動いた場面を添えてみてください。

  • 仕事と私生活に分けて自分の比率を確かめる
  • 感覚を切り捨てずに、論理も育てる

仕事と私生活に分けて自分の比率を確かめる

仕事では目の前の反応に合わせて動くけれど、家事は手順を決めて片づけたい。同じ自分の中に、そんな違いがあることもあります。

アート型とデザイン型は、誰の中にも両方あるんです。その比率は年齢によって変わりますし、仕事と私生活で違う傾向が出ることもあります。

無料タイプ診断は、仕事とプライベートを分けて答える22問です。約3分、登録なしで結果を見られます。どちらの起点から動きやすいかを知ることが、強みを話すときの手がかりになります。

仕事でアート型の傾向が強く出たら、予定にはなかった判断をした場面を一つ探してみてください。そこで何を感じて動いたのかを思い出してみましょう。比率だけを面談の答えにするより、ご自分の仕事の話として伝えられます。

結果は回答した時点の傾向で、能力の優劣や固定された性格を示すものではありません。診断を受けずに、最近の仕事で予定になかった判断を一つ探すところから始めても構いません。

感覚を切り捨てずに、論理も育てる

出来事を書き、何に気づいたかを振り返り、強みの一言にする

理由を聞かれて言葉に詰まっても、そのときに感じた引っかかりをなかったことにしなくていいんです。何を感じたのかと、相手にどう伝えるか。その二つを自分の中で照らし合わせてみてください。

打ち合わせで説明の順番を変えた出来事なら、強みの一言まで次のようにつなげられます。

まずは、出来事をそのまま書いてみてください。「相手の返事が短くなったので、説明の順番を変えた」。

そこから、何に気づいたのかを振り返ります。「こちらの説明より先に、相手が不安に思っている点を話す必要があった」ということですね。

それは自分のどんな力なのか。ここまで振り返ると、「相手の反応の変化を捉えて、伝え方を組み替える力」と言葉にできます。

「説明の順番を変えました」だけだと、したことの報告で終わります。そこに気づいたことを挟むと、何を見て動いたのかが相手にも分かるんです。強みを一言にする材料は、その気づきと行動です。

面談では「相手の反応を捉えて、伝え方を組み替えられます」と答えて、その後に実際の出来事を添えてみてください。書き出した順と話す順が違ってもいいんです。強みの一言は、自分の経験に当てはまる言葉で作ります。

感じ取る力と、伝えるために筋道をつける力を育てていきましょう。感覚から動く自分を別の型に変える必要はありません。すでに使っている力に論理も加え、両方を育てるんです。

強みは話せても、この先の仕事を選べないときの考え方は、やりたい仕事がまだ言葉にならないときにまとめています。人の意見を聞くほど自分の選び方が分からなくなるときは、自分の判断の軸を捉える見方で書いています。

まとめ

すぐ説明できることだけを強みとして数え、感覚で気づいたことを数えていなかった

面談で言葉が出なかったのは、仕事を進める力がなかったからではありません。すぐ説明できることだけを強みとして数えて、感覚で気づいたことを数えていなかった。

眼鏡を、間違えているだけなんです。

最近の出来事を一つ選び、何に気づいて動いたかを書き出してみてください。次に「あなたの強みは?」と聞かれたときは、その気づきから見つけた一言に、ご自分の仕事の話を添えてみてください。